ヤマハ発動機 — 生成AIを活用したカスタムデザインとプロモーションを促進するAI動画

コンセプトから映像へ、Final Designが実現する安全なAI環境が、知的財産を守りながらエンタープライズレベルの動画制作を可能に

背景と概要

市場のニーズが細分化するなか、モビリティメーカーには、用途ごとに最適化したプラットフォームを素早く提示する力が求められています。ヤマハ発動機は、山間部や農地などの厳しい環境にも対応できる低速EVプラットフォーム「DIAPASON C580」を基盤に、農業、工場内搬送、レジャー、都市型マイクロモビリティなど、ニッチ用途に向けた展開を構想しました。

鍵となったのは、カスタムデザインの提案スピードとそのモビリティアイデアを伝えるプレゼンテーションの説得力。この両立を実現するため、ヤマハ発動機はFinal Aimのプラットフォーム「Final Design」を中核に据え、生成AIによる創造の加速と、エンタープライズレベルの知的財産の管理を実現しました。

AIをフル活用、カスタムデザインのアイデアを大量に創出

プロジェクトでは、約30カテゴリのカスタマイズ領域を設定し、2,500点を超えるデザイン画像を短期間で生成。複数の方向性を同時並行で検討できるため、初期の発散と選定が圧倒的にスムーズになりました。

その中から選ばれた9つのコンセプトは、磨き込みを経て東京オートサロン2025で発表。さらに、AI生成動画によって活用シーンを動きで見せることで、対外的なプロモーションが促進されただけでなく、企画・デザイン・エンジニア・マーケティングなどの各部門が共通のイメージを持ち、意思決定が加速しました。

Final Design ― 生成AI時代に必須となる知的財産管理の基盤

大量の画像や動画をAIで生み出すほど、最終成果物の権利を守るためには「誰が何をどう作ったか」といった出所から中間生成ファイルまで、知財情報の管理が必須となります。

Final Designは、独自開発の技術による管理方法により、あらゆるクリエイティブの真正性・トレーサビリティ・改ざん耐性を担保しています。Final Designを通じて、すべてのクリエイション・モデル・アセットは一元管理され、完全な整合性と知的財産の保護が確保されます。

これにより、ヤマハ発動機は開発スピードと創造性を生成AIで加速させながら、一方で生成AIで発生するリスクに対して、エンタープライズレベルのコンプライアンス対応と知財管理を両立できました。

コンセプトから映像へ ― ストーリーでモビリティデザインの価値を伝える

Final Design上で生成・管理されたアセットは、企画 → 画像生成 → 選定 → 動画化まで一貫性を保ちながら一元管理されています。そして、選定した9つのコンセプトはAI生成による動画として再構成され、東京オートサロン2025で公開されました。

これらの映像は単なるプロモーションではなく、デザインの意図や利用シーンを直感的に伝える“ストーリーテリング”として活用。プロトタイピング前の段階から説得力のある表現で、社内外の合意形成が大きく前進しました。

Final Designの管理画面:生成AIの知財管理に必要なすべてのデータが一元管理され、デザインの保護が確保されます

生成AI導入による効果と成果

  • 動画制作時間とコストを約90%削減
    生成AIワークフローにより、従来は数週間を要した動画制作を数時間規模に短縮。デザイン意図の可視化、メッセージの調整、素材の差し替えなどをリアルタイムに反復できるようになり、圧倒的なコストダウンも実現しました。
  • デザインの反復時間を50%以上の短縮
    発散(生成)から収束(選定)、対外発表までの一連のサイクルが高速化。
  • 2,500件超のコンセプト生成
    ニッチ用途ごとの価値提案を広く探索し、マイクロEVプラットフォーム展開の可能性を拡大。
  • エンタープライズ水準の知的財産の担保
    すべての画像・モデル・動画がFinal Design上で安全に追跡・検証され、権利と利用の根拠が明確に。
  • プレゼンテーション品質の向上とアセット管理の効率アップ
    生成画像と動画を同一基盤で管理することで、メッセージの一貫性と再利用性が向上。

生成AIはデザインの現場のあらゆる領域に革新をもたらしています。Final Designは、その中心でスピード・創造性・知財管理を共存させる、生成AI時代に必須となる新しいプラットフォームです。

安全に生成AIを導入し、デザインの可能性をさらに広げませんか?ぜひお気軽にお問い合わせください。

本プロジェクトはNVIDIA本社による開発者向けメディア「NVIDIA Developer Technical Blog」に紹介されました